カプ:佐幸 シチュ:花見
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「おぉ…見事なものだな!」
一面に広がる薄紅の海に、幸村が感嘆の声を上げる。
咲き誇る春の象徴の花。
普段はひたすらに騒がしく、物の情緒など知りもしないような幸村が零した言葉に、少しは大人になったかな、と佐助も頬を緩ませる。
「して佐助! 団子はないのか!!」
………あんたね。
ついさっき桜を愛でたかと思えば、もうそれか。
佐助の感動は即座に打ち壊されたが、それでも苦笑で済ませて用意していた団子を差し出すあたり、幸村に甘いとしか言い様がない。
それは佐助自身理解しているし、このままじゃマズいよなぁとも思っているのだけれど。
変わらず子供のように笑い、怒り、喜ぶ。そんな幸村の姿に佐助が安堵を覚えているのも事実。
一度戦場に出れば、鬼と呼ばれる程に人を屠る自分達。
手にした凶器で人を切り裂き、その血を浴びる。
"そこ"はそういった場なのだから、それも当然なのだ。
それでも、"それ"が。
戦場だけのものでなくなってしまったら。
鬼としての、人殺しとしての冷たい自分から、戻れなくなってしまったら。
そんな佐助の暗い想像を払拭するように、幸村は笑う。
人を殺す痛みも、殺意を向けられる恐怖も、誰かを失う悲しみも、全て知っているのに。
それらを全部呑み込んで、変わらず笑うのだ。
そんな真っ直ぐな強さは佐助に何処か焦げ付くような感情も抱かせるが、それでも一番に感じるのは安堵なのだ。
「―ってがっつかないの! ちゃんと噛んで食べなさい!!」
一気に詰め込んだ団子に噎せる幸村を叱りながらも、佐助の顔に浮かぶのは穏やかな微笑み。
……あぁ、出来るなら。
また来年も二人、こんな穏やかな気持ちで桜を見れたら良いのに。
そう思い、空を仰ぐ佐助の視線の先で。
風に巻き上げられた薄紅の花びらが一片、空の蒼に融けた。
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あれ…何でだろ、もっとギャグだった筈なのに。宴会話だったのに。
花より団子な幸村とぐるぐるしてる佐助。
仄かに不和が窺えます。あれ。最近幸村にコンプレックス抱いてる佐助に萌えてたり。
そしていまいち花見話じゃなくなってる……ごめ…!
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