カプ:親就 シチュ:文化祭(劇)
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息苦しい訳ではない。
形だけ見れば、この衣装と普段の学生服は似てると言えないこともない。
ただ、どうしても着慣れない所為か、きゅ、と締まっている首元をしきりに弄ってしまう。
「何だ、緊張してんのか」
そのからかうような声音に元就が振り向くと、思った通り元親が立っていた。
間違える訳がない。物心ついた頃からの仲なのだ。
だから元就は、遠慮することなく最大限不機嫌を表情に出して元親を睨み付ける。元親も慣れたもので、笑顔一つで流してしまったが。
「小学生んとき姫やってたお前が、今度は王子様たぁ大出世だな」
「ふん、あれは貴様がやりたくないと駄々をこねたからであろう」
きっぱりと言い返してまた睨み付ける。
昔の話だろ、と笑う元親は、恐らく格好良い部類の人間に入るのだろうと元就は思う。
小学生当時は背が低く内気で、元就に守られていたというのに。姫役を押し付けられてベソをかいていたのを元就に助けられたというのに。
そんな過去が笑い話でしかないくらいに立派に"男"として元親が育ったことが、元就には気に食わない。
頬を染めて元親に想いを告げる少女達に、そんな過去があったということを教えてやりたくなる。
それが何故なのかは元就自身よく分からない。
「頭の中でなく、身体にばかり栄養がいっただけの馬鹿が」
「お前はその逆だな」
こんな言葉も、他の誰かならば許さないのに、元親だけには何故か許してしまう。
その理由を知りたいと思いつつ分かりたくないとも思う自分がいることに、元就は気付いていた。
舞台の進行役であるクラスメイトから合図を送られる。元就の出番だ。
ふ、と息を吐き出すと共に思考を打ち切る。
「トチんなよ」
そう笑む元親は、やはり格好良いのだろうと思えて。
だから。
「当然だ」
そう元就は、艶然と笑んだ。
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劇やってないじゃん!な元就自覚なし嫉妬話?(訊くな)
高校生で姫とか王子とかな劇ってどうよと思ったけど、某ゲームで普通にやってたから気にしない(お前)。
親は大道具で! ノコギリ似合うよきっと。タオル頭に巻いてると良いよ。
ヘタレ親がスタンダードですが、たまには格好良い親でも良いじゃない!っていう(何)。
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